若手注目サックス奏者・松井宏樹と九州を拠点に活躍するドラマー・菅原高志の双頭カルテット
確かな実力と豊かな創造性、幅広いスケールを持った傑作!
冒頭を飾るナンバー「Our blues」はサックスとギターのユニゾンにおける複雑なテーマで幕を開ける。
90年代以降のジャズシーンにおける一つの主流スタイルとも言えるが、クールな音色と情熱的なフレージングによるサックスソロ、そして続くギターソロの爆発的なサウンドを聴く頃にはこのグループが単なるNYスタイルのフォロワーではなく確かな技術とオリジナリティを兼ね備えていることに気付くだろう。
リーダーの松井宏樹は福岡県出身、現在は東京を拠点に活動しており、
鈴木勲(b)OMA SOUNDや、井上銘(g)のデビュー作『First Train』への参加でも知られる若手実力派サックス奏者。
クール派を彷彿とさせる音色、正統的なビバップから現代ジャズの面影まで伺わせる豊かな表現力が魅力的なプレイヤーである。
このグループの双頭リーダーである菅原高志(ds)も同じく福岡県出身。
九州を中心に全国で活動するドラマーであり、
川嶋哲郎(ts)の全国ツアーやアルバム『Days of Bird』にも参加、
他にも無数のミュージシャンと共演を重ねており、全国的にも評価が高い。
ベースの小牧良平は鹿児島県出身。現在は関東を拠点にしているが、
菅原とも親交が深く彼のツアーへの参加や、CMSレーベルへの参加など九州と縁の深い活動を続けている。
そしてこのグループ唯一の九州出身ではないメンバーとなるのがギタリストの加藤一平。
松井との共演歴も長く、松井と同じく鈴木勲OMA SOUNDヘの参加の他、
日野皓正(tp)バンドや渋さ知らズへの参加などでも知られている。
異彩を放つ、無数のステッカーに覆われた自作のストラトキャスターを使い、ノイジーでサイケデリックな、スケールの大きいプレイでこのグループの音楽性を拡張している。
「ギタリストの時代」とも言える現代ジャズシーンの中においても、真にオリジナルで注目すべき存在である。
アルバムタイトルともなっている「Freeture」におけるメロウな泣きのメロディや、叙情的なバラードナンバー「Evasive」をはじめとしたオリジナル曲における卓越したソングライティング能力、コルトレーンの「Straight street」や、チャーリー・パーカーの(「The Hymn」としても知られる)「Superman」などスタンダードナンバーにおけるユニークなアレンジなども含め、グループとしての表現力も素晴らしい。
確固たるモダンジャズの血を受け継ぎながら、そこに留まらない若手らしい創造性に満ちたアルバムであり、現代ジャズ好きのリスナーもうるさ型のジャズファンも唸らせるであろう傑作である。
[Artist] 松井宏樹・菅原高志カルテット Koki Matsui and Takashi Sugawara Quartet
[Title] Freeture
[Release date] 2017.07.06
[Catalog No.] CER-005
[Price] ¥2,000+TAX
1. Our blues
2. Straight street
3. Evasive
4. Superman
5. Freeture
6. Weaver of dreams
7. Imitation of dazzling
8. What a difference day made
9. I can’t get salvation
松井宏樹 alto sax
菅原高志 drums
加藤一平 guitar
小牧良平 bass
※アルバム未収録曲